経営者

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Anela 甲斐寿恵
自由が丘のジェルネイルサロンとハワイアンロミロミ経営者へインタビュー
ハワイで実績を積んで日本でネイルとボディマッサージのAnelaをオープン
――自己紹介をお願いします。
甲斐寿恵(かい ひさえ)と申します。今、自由が丘というところで、Anela(アーネラ)という名前の、ネイルとフェイシャルとボディケアマッサージのサロンを経営しております。
私の担当は、ボディケアセラピストとして、ボディはハワイアンロミロミをベースに、フェイシャルは中国のかっさマッサージで「Detox・Beauty・Healing」をコンセプトに健康できれいなお姿へ導くことをさせて頂いております。
こちらのサロンをオープンしてから6年目に入りました。以前は、実は父親の会社の中に入ってお手伝いをしていたんです。普通のOLです。
手に職を付けたかった
――会社を経営するに至った経緯は?
もともと妹の方がネイリストとして、日本でフリーでずっとやっておりまして、彼女がいつかお店を持ちたいと思っていたみたいなんです。
私の方はOLをした後ハワイの学校へ行って、アメリカのマッサージライセンスを取得し、ラッキーにもその後働く為のビザを取得できたので、向こうで2年近く働いていたんです。
その後、ビザの切り替えや様々な理由があり帰国しました。それに伴い、妹から「お店をしてみたいんですけど一緒にやってもらえませんか」というオファーがあったので、本気なのであればやりましょうというのがきっかけですね。
ちょうど私も転職したいと思っていたところだったので、その時に妹は先に手に職があったわけです。
彼女は全日本ネイルケアプロフェッショナル部門、チャンピオンという実績を持っているんです。やはり諦めずに頑張ればそこに行けるということですね。
彼女は全然前に出る性格じゃなくておとなしいんですけど、このような経歴があったり、女性の手に職があったりするのっていいなと思ったんです。
私は昔から、後輩から「これどうしたらいい?」など、いろんな人に相談をされることが多かったんです。相談が終わるとみんな笑顔で帰り、「ありがとうございました」と、メールを頂いたりしていました。
なので、自分に手に職と考えた時、「心理カウンセラーかマッサージがいい」と思っていました。でも心理カウンセラーは、大変だなと思ったんです。
ロミロミを知ってハワイへ
指圧マッサージには興味がなくて、オイルマッサージに興味があったんですけど、そうこうしている間にハワイが好きでいろんな情報を見ていたらハワイに伝統のマッサージがあるということを知りました。
まずそれを勉強するために、2004年の夏前に1ヶ月間、ハワイに短期留学しました。1ヶ月間みっちり勉強して、ハワイアンロミロミというマッサージのテクニックを習得したんです。
オイルマッサージって日本では国家資格ではないので、テクニックを習得しただけで日本に帰ってきて、すぐにサロンをオープンしちゃう人が多いんです。でも私は、それは怖いなと思っていました。
本当は私も日本に帰って父の会社で働かなければいけなかったんですけど、ハワイである女性と出会ったんです。
その女性もマッサージスクールに通っていて、色々と話をしたら、「そんなにハワイとマッサージが好きだったら、アメリカの国家ライセンスを取るために留学しちゃえば!」って簡単に言われたんです。
私はその足でハワイのマッサージ専門学校に見学に行き、入学の申込みをし、家もその女性と同じコンドミニアムが空いているから申込んだらということで申込みを済ませ、留学に向けて全部整えて、ハワイより日本に一度帰国しました。
そして、帰国から2か月後には、米国ハワイ州公認マッサージライセンス取得に向け、長期留学をするためにハワイに再び行き、それから4年間もハワイに住むことになったんです。
ハワイでの実績が強み
アメリカって50州もあるので、法律などだいたいの事は全て州ごとにルールがあります。私はハワイ州でマッサージのライセンスを受けたので、ハワイ州公認マッサージセラピストなんです。
2004年、ハワイ入り当初は少しのんびりしたかったので、半年ぐらい語学学校へ通い、次にハワイのマッサージスクール入学をしました。そこから2年間勉強してやっと取得、その後ハワイで働くことができたという経緯です。
日本では現在ハワイ州公認マッサージセラピストライセンスを取得している人はたくさん出てきております。ただ、殆どの方はハワイで働けないんです。マッサージセラピストとして、ハワイでワーキングビザを取るのは難しいです。
私はたまたまラッキーにもワーキングビザをハワイで取ることができて働いていたので、一番私が強みとしているのが、その実績を持って日本に帰ってきているセラピストということです。
あとはドクター並に体の勉強をさせられましたので、きちんと体のことを見て、治療が必要な人は治療の方に行くようにアドバイスをしております。私はあくまでもリラクゼーションマッサージで、治療のマッサージではないですから。
地元自由が丘でハワイから帰国後3ヶ月でサロンをオープン
――妹さんと起業されることになってから、どんなことをされましたか。
私が帰国して3か月後、このお店を始めることになったんですが、起業にあたり、特別なことは何もしていないのです。既に妹の方に日本での顧客がありましたので、まずネイルで一本柱が立っているという状況でした。
私の方は、マッサージセラピストとして日本で働いた経験がまったくない状態なので、「まず、お客様数はマイナスよ」ということでした。でも結局、スタート時はそれがちょうど良かったと思います。
私達は姉妹だけで行っていて他にスタッフがいないので、やるべきことがたくさんありました。
私がほとんど仕事の準備をして、スタートしてからも、空いた時間や、最初はお客様もいなかったので、ポスター作りや様々な書類作成などをしておりました。
妹のネイルでのお客様が多く来ているという状態からマッサージの方にお客様が流れ始めたんですけど、妹自身がかなりの経歴を持っていたので、特に集客にも前準備ということをしていない状態でした。
私自身が行ったことは、自分の実績として、ハワイでの施術の人数とか経験、そういうものは持って帰ってきていましたので、特別に何もせずに起業いたしました。もうオープンするタイミングだったのかなという流れではありました。
自由が丘が好きだから
――自由が丘でオープンされたのは、妹さんが初めから自由が丘でされていたということですか。
実は私達の生まれ育った土地なんです。そういった経緯もあるのと、もちろん知り合いも多いですし、自由が丘という町が好きなので、自由が丘で始めましょうということでした。
おそらく他の経営者さんは、マーケットリサーチをされると思うんですけど、私達は地元でやりたいという思いで場所を探し始めたという感じです。
ハワイから帰ってきて3ヶ月で見つけました。
サロン経営者としてお客様を色々な側面から見ることができる
――経営者になってから嬉しかったことや楽しかったことは?
いろいろありますけど、一番嬉しかったのは、今まで施術者として働いて、お客様との対話でしか物事が見られなかったんですけど、全体を見るところからいろんなお客様の側面を見られるということです。
施術者だけだったら、施術している時間だけとお見送りの前後ぐらいですけど、経営者となるともっと大きなところから見なくてはいけないので、お客様の対応の表情一つ一つがダイレクトに伝わってくるので、毎日が勉強になります。
今やっと6年目を迎えて、小さいお店なので皆様がわが子のように思って下さり、手土産を持ってきてくれたりするんです。
そういうのもあるんですけど、ネイルはネイルアートの持ちが良いとか、仕上がりが早いけど雑じゃない等、技術に関して他店様に比べて評価を高く頂くお言葉を、施術者、経営者として両方からの見方ができ、2倍の楽しさがあります。
私の方のボディに関しても、嬉しいことに他店と違うと言われて、体の中から元気になって帰ることができるという嬉しいお客様からのお声をいただいたり、「本当に元気になりました」と言って帰っていただいたりすることが多いんです。
姉妹でやっているからこその良さがある
――辛かったこと、苦しかったことはありますか。
ネイルとマッサージって同じ形態に思われがちなんですけど、美容と、癒し、リラクゼーションになるので、そこでのネイリストとマッサージセラピストの意見の相違があったんです。
お客様の接客に対することとか空間の使い方とかが、すごく違ったので、そこをお互いに理解するまでの話し合いは結構苦しかったですね。
お互いが「どうして分からないの」みたいな感じで、でもそれを理解しないと、私達は1つのお店としてやっているので、良い方向にいくための話し合いとかは結構しましたね。だから泣きながらとか喧嘩になるんですよ。
結構喧嘩して、それはちょっと辛かったですけど、ふたを開けてみたら今すごくいい方向ですし、特に辛いということは少ないです。
あえて言うと、やはり絶対作ってはいけないんですけど、お客様ゼロという時もあるんです。本当に経営者としては何か策を打たないといけないと思うんですけど、うちはスタッフがいないのが良いことに、2人で日頃できない事務仕事に充てるんです。
あとはもちろん自分たちでお互い練習してみたりという、ゼロの日があっても使い方を工夫してるというところはあります。表立って辛いということはあまりないかも知れないです。
おそらくスタッフを雇っていないから、姉妹でやっているからこそ、言い過ぎちゃう面もありますけど、血がつながっている家族である良さというか、助け合いというかフォローしあえて、阿吽の呼吸が分かっているんですよね。
よく皆様や周りの経営者さんには、姉妹仲がいいと言っていただけますね。うちは6歳離れてるんですけど、妹の方がしっかりしてるんです。
お互いに怒ったり怒られたり、そして反省したりしますが、おそらくどなたかをスタッフとして招き入れた時は、違う辛さというか苦労が出てくるはずなんです。でも今のところそれが無いので、すごく明るく軽い雰囲気でやらせていただいています。
他のスタッフの方だったら、やはり違う家庭環境で育っているので、その方を知るのがすごく難しいじゃないですか。
妹は妹で私のことを理解しているし、私は私で妹を見ていてどんな性格か分かっているので、そこでちょっと話の持っていき方が変わるんです。
これはちょっと早めに聞き出しておこうとか、言い合いをしていてもそういうやりとりになるので、長引かずにすぐ終われるんです。でも血みどろですよ。以前に父親が喧嘩を止めに入ってきましたからね。
ここで2人がギャーギャー泣きわめいて、父親が「なかなか夜帰ってこない」というので様子を見に来た時があって「お前らは一体何をやっているんだ」って。2人ともワーワー泣いていたんです。
3年めまでは2ヶ月に1回ぐらい喧嘩していましたが、その後はないんです。細かい何かはあっても、そういうのは一切ないですね。
姉妹でも凸と凹というか、お互いの得意、不得意分野を合わせてやっていってるなというのは、ここ2,3年は強く感じます。
施術者が余裕を持って仕事することがより良いサービスにつながる
――普段経営していく上で心がけていることはありますか。
私達は直接お客様に触らせていただいて綺麗になっていただいたり元気になっていただいたりというお仕事です。
なので、もちろん笑顔は絶やさないということと、常にお客様が心地良くなるように、帰る時には笑顔で帰っていただけるように、接客ではそのことを心がけています。
あとは数字を追って予算予算ということはあまりしていないです。
私は違いましたけど、妹の方は以前にサロンでお勤めをしたことがあるので、予算繰りの大切さを知っております。
が、結構職人でアーティストなので、やりたいことをやらせてあげるというか、お互いにそういうことをやっていて、もともとそんなに無駄遣いもしないので、今あるものから良い物を選んで仕入れてやっていくと、おのずと赤字になることもないです。
小さいお店だからこそかかる経費って結構あるんです。印刷物とかはまとめて印刷屋さんに頼まないと1枚のコストダウンができない、そういう時は自分たちのところでチラシを作ってみるとか、そういう工夫が必要になってくるんです。
何店舗も展開されているお店は、オイルも多めに10本20本30本と仕入れて単価を下げられるんです。
だけど、私達は1店舗でやっているので、その辺りの工夫は常に情報をリサーチしてやっています。絶対に質は落としたくないので、自分達が出せる経費の範囲で、クオリティの良い物をお客様にご提供するいうことを心がけています。
それと、姉妹ならではのアットホームさというか、安心して寛いで頂けるよう心がけています。
ここに来た時は疲れてらっしゃる方がほとんどなんですよね、ネイルの方もマッサージの方もそうなんですけど、そういった方たちにいかに心地よくお帰りいただくかという、第一にお客様のことを考えています。
お客様にいつも感謝の気持ちで
――経営理念とか、これから目指している目標についてお聞かせください。
いつもお客様に感謝の気持ちで、というところが私達の根底にあるところです。
やはりお客様がいないと私達は食べていけないですし、たまたま私達は技術を持っていて、それをご提供させていただいて皆様に健康になってもらえたり綺麗になってもらえたりとしておりますが、だからと言って「提供しているのよ」ではないんです。
とにかくいつも感謝で、支えられているなという、お客様への感謝というところが、理念としていつもおいている所ではありますね。
施術者が余裕を持って仕事できる会社作り
目標は経営していると変わってくるんですよね。しかし、これは昔から変わらないんですけど、ネイリストでもセラピストでも、働きやすい会社を作りたいんです。
というのは、私はいずれ施術者を退く時が来ると思うんです。その際に何をしたいかというと、自分の会社で働いてくださっている施術をする側の人が、働きやすい会社を作ることが一番だと思うんです。
なぜかというと、やはり提供する側に余裕があれば、おのずといいサービスがお客様に下りるんです。その簡単な法則をやれているところが現状では少ないんです。
経営者側からすると、経費のこととか色々出てくると思うんです。だけど施術者側はこうやったらいいということが分かっている。そこでやはり経営者と施術者側がいつも対立してしまうというのがこの業界の課題なんです。
かつて自分が施術者であったので、やはり縁の下の力持ち的な感じで、サービスを提供する側に本当に余裕を持たせてあげられる会社作りをしていきたいなというのはありますね。そうすればお客様に絶対いいサービスが下りるので。
この経営者がすごい!ATCFの小林氏、ユーロンの女性オーナー松田氏
――こんな経営者や起業家はすごいと思う方はいますか。
今、経営者の会に所属しているんですけど、そこでこの方はすごいなと思ったのが、ATCFという、都内10店舗のバーを経営している小林社長です。
私より若い社長さんですけど、彼は一見強面で、ちょっとぶっきらぼうそうに見えるんですけど、すごくハートフルだし、モチベーターなんですよね。そして、とても合理的です。
合理的になるには理由があって、自分のことばかりを考えているように見える時があるかも知れないんですけど、そうではないんです。
自分の会社の利益を考えるのは、その先に社員さんがいるし、その家族もいる、多分口にはしないと思うんですけど、そういうことも考えていらっしゃると、私は勝手に思っております。
あとは今年から新しいプロジェクトを起ち上げられており、そのプロジェクトが、私がやりたい事と少し似ているプロジェクトでして、まずはそれをどんどんスタートさせている小林社長ってすごい!と思っております。
小林さんとお話しさせていただくにあたって、常に1つの方向からのものの見方じゃないんですよね。色んな方向から見ていて、自分が面白いと思うところはどんどん質問もされますし、とにかく決断力も早いし行動も早いし、頭がいいなと思います。
一見クールなんですけど、実はすごくハートフルで、すごく私は大好きだなと思っています。
赤坂のバーにお邪魔した時、たまたまオープン当初だというのもあって、小林さんがバーカウンターの中に立たれていたんです。
いつもふざけ合ったことを経営者の会の時などに言っていても、一お客として行くと、もちろんお客様として対応してくださって、最後エレベーターのところまでお見送りしてくださいました。
お辞儀の角度といい姿勢といい、逆にありがとう、申し訳ないみたいな感じになりました。でもあれが本当にプロなんだなと思いますね。
それと勉強を本当にやめないです。私に「いつ勉強しているの」って、「マッサージの勉強はどこでしているの」「やめちゃダメだよね、勉強は」って聞かれます。日本で会った若い社長さんで、彼はすごいなと思いましたね。
プロフェッショナルな接客の松田氏
あとは女性の方でも本当に素敵な方がいっぱいいらっしゃいますが、その中でも、赤坂のユーロンというヌーベルシノワの先駆け、中国料理レストランのオーナーの女性社長さんです。
松田さんという社長さんなんですけど、その方の接客がすごくプロフェッショナルです。お客様に対するホスピタリティとか、連続でミシュランの星を取られているレストランですけど、だからと言って鼻高々になっているわけでもないんです。
中で働いているスタッフの方からもたまたま話が聞けたりすると、社員さんとの距離の取り方とか、すごいなと思っています。松田社長から学ぶべきところがたくさんあります。
諦めずに前を見て進んでほしい
――これから起業しようと思っている方へのメッセージをお願いします。
起業だけじゃないと思うんですけど、自分がやりたいことがあって起業されると思うんです。
もちろん皆さんも分かっている通り山あり谷ありなんですけど、絶対あきらめないこと、1回止まってもいいけど、止まってやめるのではなく、止まって休んだらまた前に進むというように、諦めずに前を見てもらいたいなと思います。
あとはやりたいことを常日頃から周りの人にアピールしておけば、いろんな情報が集まってきますし、結局アピールしたらした分だけ自分が動かなきゃいけない立場に追い込まれるので、いろんな方といろんな話をされるのはすごくいいかなと思います。
起業するにあたって不安もいっぱいあるでしょうし、期待と不安って背中合わせなんですけど、自分のやりたいことに向かってなので、諦めずに進んでいただけるといいと思います。
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