大手自動車ディーラーの受付業務についてインタビュー
大手自動車ディーラーの受付と言ってもお飾りのような受付嬢ではなく、洗車や配車、整備士の資格取得など様々な仕事が。そんなお仕事の内容を詳しく伺いました。顔が真っ青になるような失敗をしても会社の体制が万全とのこと。和気藹々で仕事も楽しく、残業も苦にならなかったようです。
働こうと思った理由と仕事内容を教えて下さい。
卒業前に行なわれた合同の企業説明会に友人と参加しまして、そこで説明を聞いたのが始まりです。求人情報もそこで確認しました。
特にディーラーの受付がしたかった訳ではないですが、1番最初にお話を聞いた所だったので、働けるのであればと希望して、申し込みました。
私の担当はディーラーの整備の受付でした。車検や点検の案内状の送付準備と送付、アポイントの電話連絡、それから整備前、整備後の車の配送と洗車、来客応対や案内、さらには見積もりや資料作成などの事務もしていました。
入社して半年ぐらいで車の部品に関する知識も覚えられて、発注も出来るようになります。
仕事で求められる事は何ですか?
丁寧な言葉遣いが求められます。研修も、キャビンアテンダントの方を講師に招いて、電話応対のスキルや受付での話し方を2~3日かけて受けました。
学生を卒業してから、特に経験もなく1番最初に勤めた所ですので、言葉の使い方などはそこで学んだ事が1番影響を受けたと思います。その後の電話応対でも活かされていると思います。
また土日や夕方が忙しくて、残業をして帰る事が殆どですし、洗車作業等がありますので、ある程度は体力も必要だと思います。
私の場合は、朝の8時半から夕方5時半までが定時で、残業は7時半ぐらいまでやっていました。仕事が楽しかったので、やれる事があれば極力残業して仕事をしていました。
職場環境や労働環境について教えてください。
働いている方の年齢は幅広くて、定年前の方から新卒の方までたくさんいらっしゃいました。整備工場の方は、新卒から30代後半の比較的若い方が多かったです。
仕事仲間とは仲が良かったので、休みの日は同期の子達と保養施設に遊びに行ったりしました。保養施設は海の傍にあったので、年に2回ぐらいバーベキューをしたり、花火で遊んだりしました。
風紀に関しては厳しく、髪型は茶髪は絶対にダメでした。爪は特に工場だと伸ばしていると作業中に怪我をしますし、汚れが爪の間に入ってしまうので必ず切るように言われました。
化粧も華美にならないように指導されました。自動車会社でも私がいたトヨタ系列は特にそういった管理が徹底していたと思います。
お給料は、私は正社員で入って初任給が13万8000円でした。年数によって昇給がありまして、徐々に上がっていきました。男性であればよほどの事がない限り定年まで働けるような感じでした。
私も結婚後も働きたかったので会社に確認したんですけど、「前例がないから」という返事が来たので、長く勤められないなら若いうちに辞めた方がいいなと思って辞めました。
今はそんな事はないと思いますけれども、当時は結婚後に働いていらっしゃる女性の方がいなかったんです。それにバブル期だったのでいつでも再就職出来ると思って軽く考えていました。
今思うと惜しい事をしたなと思います。現在は長期キャリア形成のためか、結婚後も働いていらっしゃる方が何名かいらっしゃるそうなので、自分も続けていればよかったかなと思います。
女性社員も全員整備士資格を取得
仕事をする上で特別な資格や勉強は必要ですか?
工場には必ず決められた人数、国家整備士の資格を持っている人がいないといけません。
私が資格を取らないと人数が足りないという事で、整備士の資格を取る事になりました。女性でも全員、会社内の講習を受けて整備士の資格を取っていました。
資格取得自体は難しくはないです。講習で教わった通りにオイル系統を全て交換したり、ブレーキをバラして組み立てたり、車検などで行なわれる前整備が一通り出来るようになれば資格は取れました。
筆記試験もありました。車の各部の名称とか、部品の名前、エンジンに関する問題などがありましたが、こちらも講習で前もって覚える箇所を指定されますので、それを覚えておけば大丈夫でした。
また、会社の社内冊子に新しい車の情報などが記載されていたので一通り目を通していました。
接客の際にはお客様から質問されたり、展示してある車の説明をしたりする必要があったので、新車のパンフレットやカタログ等も必ず見ていました。
困ったトラブルはありましたか?
勤めている間に2度車をぶつけた事があります。1度目は修理に入ってきた車を会社の柱にぶつけてしまいました。
2度目は新車のトラックを工場まで移動させる際に、ぶつけました。トラックはローとバックの位置が普通の車と逆になっている事に気づかずにそのままバックに入れてしまい、展示用の新車にぶつけてしまいました。
トラックには殆ど傷はなかったのですが、何かあってはいけないという事でぶつけた部分のパーツを新品と交換する事になりました。
1度目の修理の車は、来場者のお客様の目の前でやってしまったので、大変お怒りになってその後色々と苦労しました。
弁償については個人で負担する事はなくて、全て保険に入っていましたので保険で対応するという形でした。
他にもトラブルはたくさんありまして、納車の時にタイヤが外れたりしたのを見た事もありました。
今思えば従業員に優しい会社で、そういったトラブルがあるのは当たり前という考え方で会社や上司が全て対応してくれていました。
ただ、お客様から預かった大切な車である事を常に意識して慎重に扱うように心がけてはいました。
自動車関連だとリコールの影響はありませんか?
リコール対象車のオーナーさんにはもちろん葉書を出すんですけれども、そういった時は早急に対応しなければならないので、作業が詰まってしまって忙しくなることもありました。
ただ、謝罪などは全て上司が対応して下さいました。電話の場合でも上司が替わってくれましたし、大きなクレームを私自身が対応するという事はなかったです。
トヨタ系列のディーラーは福利厚生もバッチリ。長く勤めたい職場
働いていて良かったと思う事は何ですか?
礼儀作法や言葉遣いを最初にかなり叩き込まれた事が後々まで役に立った事です。
また、会社内の雰囲気がとても良く、お盆休みやゴールデンウイークもきちんと休みが取れていましたので、休みの日に県内に散らばっている従業員皆が集まる事もありました。会社の保養施設で同期会のようなものを開いたこともあります。
その上で、上下関係はきちんとしていましたので、勤務態度などは大変勉強になりました。
就業中もトラブルがあれば上司がきちんと対応して下さいましたし、働いていくうちにお客様の中に顔見知りが増えていった事も良かったことです。
この仕事に興味がある人へアドバイスをお願いします。
女性でしたら人とのコミュニケーションが嫌いでなければ向いていて、活躍できると思います。逆にコミュニケーションが取れない人とか、きちんとした言葉遣いや対応が出来ない人は向いていないと思います。
工場勤務だと給料が少ないといわれる方もいましたが、大手企業で大変安定した仕事ですし、特にトヨタ系列のディーラーは福利厚生もしっかりしていると思います。
営業職だと成績の事を考えないといけないので精神的に辛い所もあったと思いますが、工場の方ではそれをサポートする所でしたので、スタッフ個人の成績が問題になる事はなくて、営業担当のような競争もなかったので安心且つ安定して働く事が出来る所でした。
仕事や給与面ではやや面白みには欠けるかもしれませんけど、仕事を長く続けたいとお考えの方にとってはいい職場だと思います。入れる機会があればオススメです。