15歳で遠洋漁業の漁師に!見習いでも年収500万円!
一度海へ出れば2ヶ月帰れない、遠洋漁業船に15歳で乗り込んだ方にインタビューしました。2ヶ月間の食事メニューは?どんな給与体制なのか?お風呂はどうしているのか?命がけの男の世界の実態が分かります!
体力勝負でやる気と根性が大事!
漁師になろうと思った理由は?
男の中の男の仕事というイメージがあって、たまたま漁師に知り合いもいたので紹介してもらえて、漁師になりました。
親戚の知り合いがたまたま同じ船に乗っているボースンという役職の方で、その方に乗ってみるかと言ってもらえて、乗ることになりました。
15歳の時です。中学を出てすぐ働き始めました。軽い面談ですぐ決まりました。
まず魚を取り、網が破れたら網を直し、魚を選別してから冷凍します。遠洋漁業をやっていたんですけど、スケソウダラとかタラとかそういったものですね。主にスケソウダラが多いです。
トロール船という船で、網を船につけたまま底引きするんです。底引きをしながら船を走らせて、魚が網の中に入っていくという仕組みです。全て機械でやるので、手は使わないです。
僕は15歳で働いていましたが、僕以外はみんな30代とか40代から60代ぐらいで、若い人はいませんでした。僕だけ若いので、こき使われる感じでした。
給料は年給です。年収でいくらという形です。魚の取れ高によって変わってくるんですけど、見習いで500万円ぐらいです。一番偉い人で1000万円以上です。
魚が取れないとお金にはならないんですけど、その時はお金には困らなかったです。
求められるものは、やる気と根性ですね。遠洋漁業なので2ヶ月ずっと船に乗りっぱなしなので、根性がないとできない仕事です。かなりきついですけど、それさえあれば何とかなると思います。
3年しかやっていないんですけど、3年でも慣れないぐらいでした。慣れるには10年20年かかるんじゃないかと思います。
睡眠時間が4時間から6時間しかないんです。だから体力はかなり必要です。寝ないで働けるような人じゃないと持たないです。
毎日忙しいので、暇な時期がないという感じです。寝るか仕事かなので、ボーッとしてる時間もないです。ボーッとしてたら後ろからひっぱたかれるような状態です。
油断していると時化(シケ)がひどいので、ボーッとしていると船から落ちたりとか、命にかかわる仕事なので、ボーッとしていられないです。
休みの日は基本的にないです。ベーリング海峡というところに行っていたのですが、そこは流氷がひどい時は休みになります。そういう時は録画してきたビデオを見たりとか、そういうことしかできないですね。
天気というより海の状態ですね。天気はいくら嵐になろうが関係ないです。台風でも出航したこともありました。
領域がロシアなので、すごく寒いんです。だから服装は完全防寒で上下カッパですね。防寒はきっちりしないと、鼻水が凍るぐらい寒いので、耳当てとかもした方がいいです。
手袋も防寒の専用のものが売っているので、それを買って行くのがいいと思います。
船の上で食べる新鮮な魚介類
働いて楽しいこと、困ったことはありますか。
楽しいのは、とれ立ての新鮮な魚をその場で食べられることです。
なかなか食べられないタラの胃袋とか、アザラシを食べたこともあります。ジンギスカンに似た感じの肉でとても軟らかくて、臭みはジンギスカンほどなくて美味しかったです。焼肉っぽいですね。
胃袋は牛のホルモンみたいな感じです。焼いて食べるととてもおいしいです。
男になったというか、そういう錯覚というか。男らしい感じが自分でしたのが良かったです。
女の人は基本的に乗れないです。海の神様が女性らしいんです。船に女性を乗せると海の神様が嫉妬して船を沈没させるというのがあるんです。
あとは網を直す作業って、船の中だけの仕事というか、普段絶対やらないじゃないですか。その網直しはとても面白かったですね。
底引きといって底を引く網なので、破れて上がってくるわけです。その破れたところを修理するんです。手で一縫い一縫い裁縫みたいに縫っていくんですけど、それがすごく楽しかったです。
こういう風に網が作られてるのかとか考えていると、とても楽しかったです。魚を選別したりとか、地道な作業が結構多いんです。
困ったのは、ずっと船の上なので、コンビニとかの陸にあるものに買い物に行きたいと思っても行けないとか、女性とデートしたいなと思ってもできないとか、そういうことはありました。
あと、寝ないで仕事をするってどうなのかなと思ったことが結構ありました。
時間になるとブーッとベルが鳴って、それと同時に外に出てくださいという合図なんです。ベルに気付かないで寝ていると、「何をやってるんだって」後ろから跳び蹴りを喰らったりというのはよくありました。
指導は本当にかなりスパルタでした。肩もめとか上下関係は厳しくて、裏の社会に似たところがあります。
船に乗っている時は、普通に生活して普通に寝られる仕事が羨ましいとは思いました。
体力的には楽そうですけど、他も大変と言えば大変ですよね。でも比較すると、船が一番辛いんじゃないかと思います。
海に落ちたら助けてもらえない?命がけの仕事
働く上で注意するポイントは?
命がけなので、しっかり上の人の言うことを守って、海に落ちないようにします。
落ちたらそれで終わりなので、誰も助けてくれないらしいんです。助けると助けた人も死んでしまうので、なかなか落ちると助けられないということなので、落ちないように注意して働くことです。
実際、落ちてそのままという話は聞いたことがあります。嵐がすごいので、浮きを流しても何をやっても助けられないんです。すぐそこが海なので、常に危険と隣り合わせです。
ライフジャケットを着て仕事はしています。落ちたら自分で何とか上がって来いって感じですね。
僕も1度、岸壁からですけど落ちたことがあって、やっぱり1人じゃなかなか上がってこられないです。
船の上からではなく岸壁と船の隙間に落ちたので、その時は10人ぐらいの人に引っ張ってもらって、何とか上がってこられました。
仕事をする上で何か参考になる本とか、資格や特別な勉強の必要はありますか。
本や資料は特にないです。直接、体で、みんなのスパルタ教育を受けて一つ一つ覚えていく感じです。
見習いから始めるとなると資格はいらないですけど、更に上を目指すという人なら、機関士と航海士という資格があります。
船のエンジンを修理修繕する機関士というのがあるんですけど、それは資格と勉強が必要になります。それを取ると給料はぐんと上がると思います。
仕事をなめてかかる人は漁師に向かない
漁師に向いている人、向いてない人は?
向いているのは、漁師をやりたいと心から思っている人です。向いていないのは、海とか仕事をなめてかかる人です。
船酔いはする人としない人がいるみたいで、僕はすごくした方なんですけど、行く前は太っていたんですが、3ヶ月ぐらいは何も食べられずじまいで20キロぐらい痩せました。
早い人だと1週間ぐらいで慣れる人もいるので、船酔いするからといって向いていないとは言い切れないですね。
3ヶ月経ったら、もう全く大丈夫でした。薬も何も飲まずに慣れたので、体が慣れたんだと思います。
食べ物は、陸から色々な食料を積んでいくので、普通に家庭で食べるようなものを食べられます。コック長という方がいて、その人が毎日料理専門でやってくれます。
僕が乗っていた遠洋漁業の船で大体20人乗っています。
着替えとかは、洗濯機と乾燥機があるので、1週間分ほどあれば足りると思います。
コンビニとかお店がないので、お菓子、ジュース、お酒、たばことか、ストレスを解消するような食べ物を持って行くといいと思います。
2ヶ月分なので、2万円分ぐらいのお菓子が必要になってきます。それをちょびちょびと食べていく感じです。
飲み会とかは、基本的に船の中ではできないですね。酔っぱらうと落ちちゃうので、基本的にはないです。お酒は寝るためだけに飲むという感じだと思います。
お風呂は面白くて、海水をくみ上げて海水でお風呂を張って入るんです。シャワーだけが真水なんです。
だから、風呂の中に貝とかワカメみたいな海藻がプヨプヨ浮いたお風呂に入ります。お肌がツルツルになります。
お湯は普通に温かいお湯です。ワカメとかも温まってダシみたいになっちゃいますね。
命を張ってする仕事なので、気を付けてやってください。それなりにお金も入るので頑張ってほしいです。