運送会社で1年間事務員をしていた女性にインタビュー
運送会社というと、いかついドライバーが沢山いて、なんとなく荒っぽい印象。その中で1年間事務員をしていた女性にインタビュー。気短かなドライバーを相手にしたり、お客のクレームに対応したりする中で身に付けたものとは?
昼勤と夜勤の違い
運送会社で働くことになった理由は?
私は高校卒業をした後はフリーターとしてアルバイトを掛け持ちしていました。
けれども、23歳の時にそろそろ正社員で働きたいと思って、ハローワークに行き、運送会社の事務員の求人を紹介してもらいました。
とりあえず事務職であれば何の仕事でも良かったんですけど、ハローワークの人に事務員は倍率が高いから全部応募しておいた方がいいと勧められて、その通りにしたら、この運送会社が採用してくれました。
事務員が6~7人いる、全体では50人くらい働いている営業所です。最初は昼勤務で研修のあと正社員になり、後から夜の仕事に回る事になりました。
昼の仕事と夜の仕事ではどういう違いがありますか?
昼の事務員をしていた時は、ひたすら会社ごとに伝票を分けて、数を数えて伝票内容をパソコンに入力していました。それからお茶くみや掃除などの雑用がメインでした。
夜の事務作業は伝票入力だけでなく、ドライバーさんが預かってきた食品の数量検品や荷物遅延の問い合わせなどトラブル対応を行っていました。
夜の勤務は20時出勤で翌朝6時終業なんですが、普通に終わる事はなくて、大体トラブル対応などで8時ぐらいまでかかっていたので、半日ぐらいいました。体が慣れるまでは辛かったですね。
昼も夜も電話の多さは変わらないですし、体力的には昼の方が楽でしたが、仕事に慣れてくると夜の方が人と会うことが少なくて雑用もないので、気分的に楽でした。
制服に関しては、昼の事務員はスカートに夏はベストとブラウス、冬はジャンパーでした。
夜勤の場合は、作業着みたいなズボンと夏はポロシャツ、冬はジャンパーでした。夜の場合は一応作業もあるので、ズボンの方が動きやすいと思います。
昼の事務員の場合は、他の会社と仕事内容は同じだと思いますが、夜の事務員だと事務以外に力仕事が入ってくるので、そういう点は違うと思います。
お給料はお昼の頃は、月給12万円ぐらいで、夜の仕事だと、夜間勤務手当が付いて手取りが18万円ぐらいになりました。
気性の荒い人やパワフルな人が多い運送会社のドライバー
一緒に働いていた従業員の方について教えてください。
事務員さんはいい人が多かったですが、トラックのドライバーさんは気が短かったり、気性が荒かったりするので最初は戸惑いました。
例えば、私が伝票の仕分けが終わってないのに出発の時間が迫ってくると「早くせんか」とまくし立てるように怒鳴り散らしてくる事がしょっちゅうありました。
最初は事情もよく分からないのでひたすら謝っていたんですけど、慣れてきたら強気に出られるようになりました。
そうすると、向こうも私が変わってきた事を察したみたいで待ってくれるようになりました。
トラックのドライバーの仕事はどんな仕事なんですか?
食品を扱う会社だったので24時間365日休みなく稼動していました。
朝、昼番、夜番の3つに分かれていて、さらに食品メーカーから預かった商品を、一旦うちの会社に持って帰ってくる仕事と、その商品をスーパーやコンビ二に持って行く仕事の2つに分けられます。
他にも荷物の梱包とかトラックの掃除も自分達でやっていました。
ドライバーの年齢の幅は広くて、10代の人もいれば60代ぐらいの人もいました。
でもずっとドライバーをやっている人だと60代でも筋肉ムキムキで、とてもおじいちゃんには見えないようなパワフルな人達でした。
一応定年はあるらしいんですが、長い間勤めている人は自分の希望で延長が出来るそうなので、60ちょっと過ぎぐらいまでは働けるみたいです。
ドライバーの仕事は、2トントラックまでは普通免許で大丈夫ですけど、大型トラックに乗る場合は大型免許が必要になります。
運送会社で働いてクレーム対応力が身に付いた
運送会社で働いた事で身に付いた事はありますか?
クレームがすごく多かったので、クレーム対応の仕方は身に付いたと思います。
最初はクレームの内容も理解出来てなかったし、対応の仕方も分かってなかったのですが、慣れてくるとスムーズにクレーム処理が出来るようになりました。
お店からかかってくる場合は「荷物はまだですか」といった催促の電話なので、「調べて折り返し連絡します」という対応で済みます。
やっかいなのは「お宅の運転手の運転が荒い」というクレームです。自分はドライバーではないので言われても困るのですが、同じ会社の人間としてひたすら謝ることになります。
中には延々文句を言い続ける人もいて、その場合は話を聞くふりをして聞き流すようにしていました。
大抵は自分の思いを全部ぶちまけるとスッキリするみたいで、その場で終わるんですけど、中にはドライバー本人が謝るまでしつこく掛けてくる人もいました。
そういうしつこい人は、トラックのナンバーを控えていて「このトラックに乗っていたドライバーを出せ」と言ってきます。
その人が戻ってきていない旨を伝えると一旦は電話を切るんですが、しばらくするとまた掛かってくるんです。
それをドライバー本人が出るまで延々続ける、そういう鬱陶しい人がたまにいました。
こういう場合、ドライバーが直接謝ることはまずありませんが、事故の場合は謝りに行っていたようです。
特に居眠り運転が多くて問題になっていました。
ドライバーの場合、交通渋滞などが原因で納期が遅れてしまい、後の業務もつられて遅れてしまう事があります。
そうなってくるとドライバーの睡眠時間も削られてしまうので、寝不足のドライバーが多かったです。その結果居眠り運転による事故が多くなっていました。
事故を起して物損があった場合の弁償は、会社ではなくドライバー本人の負担になるので給料から天引きされていたようです。
中には大きな事故を起して、もうドライバーはやっていけないので倉庫作業に回された可哀想な人もいました。
仕事中の事故なので会社の労災が適応されというわけではなく、少なくとも商品の破損については自腹でした。大量に載せているから多分弁償も大変だと思います。
運送会社で働く事に興味がある人にアドバイスをお願いします。
怖い人がたくさんいるので、そういう人がいても平気な人が向いていますね。
気が弱い人だと心が折れて、辞めてしまいたくなると思うので、やはり気が強い人の方が向いていると思います。
お昼の事務員だと他の会社の事務員と変わらないので、パソコン操作が出来れば勤まると思いますが、夜働きたいと考えているのなら体力が必要になります。
また、夜の事務員は1人なので、仕事を効率よくこなせるようになっていかないといけません。
でも夜の仕事は、女性が1人だけなので周りの男性からちやほやされて、ジュースやお菓子を貰っていました。そういうのは夜だけの特権で嬉しいものですよ。
それから、運搬する商品が破損してお店に出せないようなものは社内で格安販売されたり、ただで貰えたりするメリットもあります。
トラブルの際の処理の仕方も身に付きますし、女性のドライバーもいましたので、ドライバーに興味があればやってみるのもいいと思います。見ていると結構かっこいいですよ。