住宅リフォーム業者の営業レディのお仕事体験記
36歳の女性が住宅リフォームの営業のお仕事をしていたときのお話を伺ってきました。厳しかったことや一番の喜びは何だったのか?営業の仕事で工夫したことから上手にこなしていくコツを教えていただきました。
顧客リストに沿って各戸を訪問
住宅リフォーム屋さんで働くことになったきっかけは何ですか。
インテリアコーディネーターの資格を取ったので、その資格を生かして働きたいと思って入りました。
そこのリフォーム屋さんを選んだ理由としては、大手で女性を積極的に採用していて、リフォームの経験がなくても採用している会社だったのでそこを受けました。
積極的に採用していたのがわかった理由として、ホームページが、女性の体験談とか、女性メインの募集のホームページになっていたんですね。
リフォームというと家の水回りとかが多いんですが、家に長くいるのは主婦、女性が多くて、キッチンの使い勝手とか、そういう悩みを女性の方が相談しやすいんですね。
それで割と女性の方がリフォームの成績が伸びているということで、女性を積極的に採用していました。
不動産系というと、どちらかというといかついお兄さんというイメージを持たれるかも知れませんが、そこは半分以上女性でした。
結構大手メーカーに付随しているリフォーム会社だったので、顧客リストというのがあったんです。
そのリストの地域というのを人ごとに分けて、自分のエリアのリストをもらって、そこを中心に訪問していく感じでした。
チャイムを鳴らしてまず挨拶から初めて、名刺を渡して、「何かありましたら」みたいな感じから始めました。
仕事で楽しかったこととしては「やっぱりリフォームをして本当に良かったと言ってもらった時が一番楽しい」と言われたときは、やっててよかったなと思う時ですね。
毎月のノルマと売り上げ
営業で回っていて、月にどれぐらい申し込みがあるんですか。
多い時は、1人で月7、800万ぐらいです。半年のノルマが3千万だったので、それに合うような計画を立てて、月500万が平均ノルマでしたね。年間6千万ですね。
給料は、固定給が25万で、契約を取るだけ歩合が付くので、500万取ったら1%の5万円もらえるという感じで、30万とか、大体それぐらいでした。
入金ベースで手当てが付くので、入金が固まると12万ついたりとかしました。
実際ノルマは達成できる時とできない時があって、達成できない時は200万とか、できた時はギリギリ達成できるみたいな感じで、ちょっと高めの設定にはなっていたと思います。
長く続けられる人は続けられるんですけど、新しく入ってきた人は契約社員からその仕事に入るんですね。
エリアというのも、正社員の男の人がいるんですけど、その人たちが、一番富裕層のエリアを握っていたりするんです。
そして立場の弱い人はポツポツと離れているエリアとか、田舎の方とか、そういうエリアをもらうので、結構売り上げは上げにくくて、ちょっと大変なことがありましたね。
最初は契約社員からスタートして、ノルマを達成したら社員になれるという感じで、半年後に社員になりました。
でも訪問とかに慣れていない人は辞めていきますね。リフォームと聞くだけで拒否反応を示す人が結構いますね。
リフォームで訪問って多いみたいで、そういうしつこい訪問販売とかに遭ったりした人だと、リフォームと聞いただけでもう結構ですみたいな言われ方をされたりとか、そういう時はありました。
でも別に自分に言われていると思わないようにしていたので、私はわりと大丈夫だったんですけど、自分に言われたと思っちゃう人はすぐダメになっていましたね。
言われている相手は会社ですね。今住んでいる家が働いているメーカーの家なので、建てた時の文句とか、家の文句とかをよく言われるんです。
だからそれは会社に言っていることであって、私に言っていることじゃないって割り切っていたので、結構聞いてあげるだけでも納得してくれたりするんです。
職場の人は仲間?ライバル?
リフォームで文句とかトラブルとかもあったんですか。
いろんな業者さんや職人さん、材料とかを全部自分で手配して進めないといけないので、材料が届かないとか材料に傷があったりとかすると全部ストップになって、もう1回工事の日程を組み直したりとか、そういうのは大変でしたね。
エリアの中で、エリアの変更とか、人が入ると異動とかがあるんですけど、美味しいお客は私の客だから、という人がいて、その人とはちょっともめたんですけど、ちょっと嫌なもめ方だったなって感じですね。
全然自分では回ったり訪問したりしなくて、お得意様でもないのに、ちょっと金持ちそうな家というだけで「私のお客さん」と言って自分のものにするから、それは違うんじゃないですかって言ったんです。
自分で1回でもリフォームとかして、つながりがあって、そのお客さんが自分じゃないとダメだくらいじゃないと、私のお客さんとは言えないんじゃないですか、って言ったんです。
先輩だったんですけど、それでちょっと揉めて、上司に相談しました。
結局私の意見が通って、エリアを異動したら、「自分じゃないとダメ」くらいの客じゃないと持っていけないというルールを決めて、それからは別に揉めなくなりました。その方も女性でした。
やっぱり数字を上げないと、言われるのは自分なので、と言うのは結構ありましたね。
インテリアコーディネーターの資格が有利
毎日の仕事の流れを教えてください。
朝は書類とかがあればそれを始めるんですけど、特に今やっているお客さんとかの書類とかがなければ、すぐに外回りを始めます。
訪問して帰ってきて、何かその時にお客さんから頼まれたことがあれば、それを調べたり見積もりを始めたりして、見積もりを依頼して、という感じですね。
工事の日とかは、大体朝一から始まるので、現場に行って、工事の人がそろったら始めて、大体このままで大丈夫だなというくらいまでは自分で現場を見ます。
大丈夫そうだったら現場を離れて、書類とか、訪問の準備をまた始めるという感じですね。いつも帰りは遅いと11時とかでした。
私はわりと残業せずに早くやることやって帰りたい方だったんで、早い時は定時の6時半とかで帰れたんです。
けど、上司の人が男の人で、残業する程働いている、頑張っているって思う人だったので、結構帰ろうとすると呼び止められたり仕事を頼まれたりとかしていました。
リフォームの訪問営業をするのに必要な資格って何がありますか。
インテリアコーディネーターと建築士2級ですね。
前に宅建を取った時に、リフォームの仕事をしたくて面接を受けたことがあるんですが、宅建だとあまり使えない、インテリアコーディネーターか建築士2級くらいはないと、うちでは厳しいと言われました。
それでインテリアコーディネーターを取ろうと思ったので、その2つがあると逆にすごく武器になるんですけど、なくても入っている人もいます。
まず名刺に資格を全部書いてもらえるので、お客さんも結構それを見て「インテリアコーディネーターを持っているんですね」という感じで、そこから相談してもらえたりします。
「ここを見て欲しいんですけど」とか、壁紙の相談に一緒に乗ってほしいとか、結構資格を見て頼りにしてくれるお客さんもいらっしゃいました。
建築士を持っていると、基礎とか、リフォームする上で壁をぶち抜いてする工事とか、この柱は抜いちゃダメとかそういう建築士的な視点で図面が書けるので、持っているとやりやすいと思います。
庭とかも相談されるので、庭の資格、何て言ったかな…ちょっと忘れてしまったんですが、庭の資格があって、それも持ってる人は結構庭の契約とかも取ってきていましたね。
営業のコツは売ろう売ろうとしすぎないこと
働いていて、これは辛かったという思い出は何かありますか。
職人さんのミスも全部自分が謝らないといけないので、誰かのミスを全部自分が責任を持って謝りに行くというのが大変でした。
自分がどんなに注意しても、職人さんのミスとかは防げないので、それは結構言いづらいというか、大変でしたね。
向いているのは、新しい知識を取り込むのが苦じゃない人ですね。
リフォームも太陽光とか新しいものをどんどん投入してくるので、申請とか、初めてのことばかり続いてくるという感じなので、変化が好きじゃない人はちょっと向いていないかなと思います。
あと、接客が好きじゃないと無理ですね。
私が初めて訪問した時、「何かお困りのことないですか」って聞いてたんですけど、みんな「お困りのことはない」と言われるんです。
家に主婦でいる人って、事前にアナウンスしておかないと、例えばこの日の何時に来ますって言っておかないと、部屋着とかだったらそれだけで会ってくれなかったりするんです。
心の準備をさせてあげないと、家のどこが今アレか、って聞かれても、ぱっと答えられる人ってなかなかいなくて、なので事前にアナウンスしてから訪問すると契約率が変わってきます。
自己紹介とか、自分の会社はこういう会社ですという紹介とか、こういうリフォームをやっています、というチラシを自分で作って、訪問する3日ぐらい前に入れて、それで訪問していました。
チラシは全部手書きです。パソコンで、各自のオリジナルのチラシを作って、カラーで印刷してやっていました。
人はたくさんいるので、他のいろんな人のチラシをもらって、こういうのを書いたら反応が良かったとか、こういうの入れるといいよとかいうのを、いいとこ取りで作りました。
あまり売ろう売ろうと前面に出すと、向こうも引いちゃいますね。だから、まずは知り合いになるというスタンスで行くんです。
すると、何かちょっとしたきっかけで、「こういうのがあったからちょっと見てくれる?」みたいなノリで言ってくれたりしたので、そういう点では女性が有利かなと思います。
団地とかでバーッと回れる感じだったら、1日30件とか回れるんですけど、車で飛び飛びにしかないところだと10件も回れなかったりしましたね。
この仕事は、資格はなくても、頑張って働いている人もいるし、働きながら資格を取っている人もいるので、資格がなくてもチャレンジしてほしいと思います。