飲食店で2年働いて調理師免許試験に合格した方へインタビュー
飲食店での2年間のバイトを経て調理師免許を取ることができた方のお話。飲食店で働きながら取得するのも調理師学校に行くのも、それぞれにメリットはあります。食に関わる仕事をしてみたい方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
飲食店のバイトがきっかけで調理師資格を取りました
――調理師資格とはどういう資格ですか。
「食の専門家として食材を調理して人々に振る舞う職業」というのが定義です。国家資格なので、その資格を持っていないと調理師と名乗ることができない資格のようです。
――なぜ調理師資格を取ろうと思ったのですか。
ちょうど20歳を越えたぐらいの時に飲食店でアルバイトをしていたのですが、一緒の時期に入った30代主婦の方で、ここで働いて調理師免許の受験資格を取って、調理師免許の試験を受けて給食のおばちゃんになるという目標を持っている方がいたんです。
その人が「今度受けるんだよ」と言ったので、私も同じ年数を働いているし受けてみようかなというので受けてみました。
――受験資格は?
中学卒業以上の人で、色々定義があるみたいですけど例えば、お店で働いたりという調理業務が2年以上の人というのがあります。
その調理業務も飲食店だったり惣菜屋さんだったり、許可を受けた施設での実務が必要です。例えば営業許可のない施設での調理業務には資格は与えられないです。
基本的にパートやアルバイトの場合は許可がおりないみたいなんですけど、週に4日以上でかつ1日6時間以上継続して働いていた場合はOKということでした。私は一応それに当てはまったので、お店からOKが出て試験を受けることができました。
細かい決まりごとはあるんですけど、私の口で話すよりホームページなどを見てもらう方が、自分が受験資格があるかなというのは専門のホームページを見てもらった方が正確だと思います。私の場合はバイトの時間数が足りていたので受けることができました。
――お店の人がOKと言って初めて受けるというより、自分で当てはまったら自由に受けていいのですか。
お店の人に書いてもらうちゃんとした書類があるんです。調理業務従事証明書といって、社長さんのサインが必要です。
――何歳の頃に取ったのですか。
20代の前半に取りました。
――今のようにネットで調べたりできないですよね。
そうですね。調理師の問題集とかあるはずだと思って本屋さんに行って、本で情報を得ました。
取得方法は調理師学校に行く方法と飲食店で働く方法の2通り
――調理師の学校に行かなくてもいいのですか。
先ほど言ったように、調理師の学校に行けば多分1年で取れるし卒業と同時に単位さえ取れていれば免許が取れると思うんですけど、飲食店で2年働けば学校に行かなくても受験する資格をもらえます。
――試験までどれぐらい勉強しましたか。
1日1~2時間していたかなという感じで、していない日もあったと思います。期間的には資格を取るぞと思ったのが試験の2ヶ月前だったので、2ヶ月しか勉強してないです。
――勉強の方法は?
本屋さんで買った参考書と過去問のテキストがあったので、参考書を読んであとはひたすら過去問を解くという勉強をしていました。
赤いシートで押さえると字が消えるという受験生がよくやっているのがありますが、あれで参考書の重要だと思うところにはマーカーでチェックを入れて覚えるというやり方でやっていました。
――専門用語もたくさんありましたか。
そうですね。訳の分からないようなものもあったと思います。
――勉強にかかった費用は?
参考書と過去問の2冊3千円以内で勉強できたんじゃないかと思います。それ以外にお金はかけてないです。
――勉強は楽しかったですか。
楽しかったです。
学生の時は自分から意欲的に勉強するということがあまりなかったんです。
この資格は何となくやり始めたけど自分が取ろうと決めたものだったので、新しい発見もありながら勉強ができるというのが楽しかったと思います。苦痛ではなかったですね。
――勉強の中でアルバイトの経験が活かされたことはありますか。
例えば野菜を切るとかまな板を消毒するとか、キッチン周りを消毒するとか、そういう衛生面とか調理法みたいなことに関しては、多分お店でしていることに良く似たことだったと思うんですけど、大半は違う勉強だったような気がします。
調理師資格試験は7科目のマークシート方式。合格ラインは6割
――試験当日心がけたことは?
とにかく緊張せずに、落ち着いて試験に臨もうと思っていたと思います。
ケアレスミスがないように、1個1個丁寧に解いていこうというのと、1度終わったらもう1回解き直して最初の答えと合っているかを確認したのを覚えています。
私の地域では年に1回しかない試験だったので、これを逃したらまた来年になってしまうんです。
何となく始めた資格でそこまで自分のモチベーションが保てるとは思わなかったので、1発で合格するぞという気持ちで臨みました。
――試験の内容はどういうものでしたか。
栄養のことや調理法、食の歴史や世界の食文化とか、そんな感じだと思うんですけど、もう10年以上前のことなので忘れてしまって、調べてみたら7つの科目がありました。
食文化概論、衛生法規、栄養学、食品学、公衆衛生学、食品衛生学、調理理論というちょっと言葉にすると難しそうなものですけど、家庭科のステップアップしたような感じと思ってもらったら分かりやすいかと思います。家庭科でも栄養学とかあったと思うので、そんな感じです。
――試験の形式は?
マークシートでした。4個から5個の中から1つ選択するような感じだったと思います。マークシートだったので気は楽でした。
――試験の時間は何分ですか?
はっきり覚えていないのですが、2時間ぐらいあったかも知れないです。
――結構問題数も多い感じですかね。
そうですね。7科目あるのでそれなりの問題数で、50~60問ぐらいあったかなと思います。
――試験は難しかったですか。
7割は解けたかなという感触だったんですけど、3割ぐらいは分からなかったです。これ何だろうと、全然分からないものもあったので、まだちょっと勉強が足りなかったですね。
――合格ラインというのがあるんですか。
私が受けた当時は、6割正解していれば合格するというふうに調理師の免許を持っている先輩から言われていたので、その辺がラインだと思います。
ただ自分が何点取ったかは分からず終わりました。
――試験を受ける人の年齢層はどんな感じでしたか。
私が受けた試験場では30代40代の、働いている感じの人が多かったです。若い方は少なかったですね。男性も結構多かったと思います。
――合格したら何かお金は必要ですか。
合格したら登録するための手数料が要ったと思います。多分5千円ぐらいだったと思います。保健所に行った記憶があって、合格の通知をもらったらそれを持って行ったと思います。
調理師学校は卒業すれば調理師資格を得られます!
――調理師学校に行くメリットは何かありますか。
単位を取りさえすれば、卒業できたら試験なしで調理師免許がもらえることだと思います。
学校の中での試験はあると思うんですけど、国家試験をわざわざ受けに行く必要がないというのはメリットだと思います。
私のおじが定年退職した後に調理師の専門学校に行ったんですけど、おじを見てるとやはりプロの料理人から指導を受けて、いろんな食文化や調理法を生で体験させてもらえるというのはとてもうらやましいことだと感じました。
私はどちらかと言えばお店で調理を教えてもらったので、そんな高級なお店じゃなくて大衆の、どちらかと言えば雑草的な感じの料理が多いんですけど。
おじが勉強したのは和食とかフランス料理とか、本当に繊細な料理を習っていたので、本当にうらやましいなと思いました。それはお金を出して学校に行っている人の特権だなと感じました。
――飲食店で働いて資格を取ることにもメリットはありますか。
一番のメリットはお金をもらいながら勉強できるということです。
お客さんに料理を出すという実務に関しては、お店で働いている人の方が学校では体験できない実務をたくさん経験できるのかなというふうに感じます。
――調理師免許を持っていて得したことは?
大きく得をしたことはないんですけど、自分の気持ちの中で、食に対する意識というのが取る前と取った後では変わったかなと思います。
料理を作るのって楽しいなとか、外食したらこのメニューはなんでこんなに美味しいんだろうとか、こんなものを入れたら美味しいんだとか、今まで考えなかったことを考えるようになったかなと思います。
――今調理師免許は役立っていますか。
すごく役立っているわけじゃないですけど、今、食を伝えるという仕事を細々とやり始めているところなので、これから活かしていければいいかなと思っています。今から役立たせてみせるぞみたいな感じで頑張っているところです。
――調理師免許に興味のある方にひと言お願いします。
手に職があるといいと思います。食べるということは人間の基本のことなので、そういうことを職にできるというのはきっと楽しいことだと思うので、興味があればチャレンジしてみてください。